創業から60年。数えきれないほどのコンクリート二次製品を開発、製造、販売してきました。その過程においてイビコンが抱いていたのは、地域の人達の安全・安心を支えたいという想いです。一部の製品をご紹介しながらその軌跡をたどっていきます。

1960年代~ 1970年代 「商品開発の原点」

創業当初は高度成長期で、道路インフラ整備が活発でした。その為、とにかく多くのコンクリート二次製品が必要とされ、「作れば売れる時代」でした。同時期に創業するコンクリート二次製品メーカーが多く、次第に同業社間で価格競争が起こり、業績は伸びなくなってきました。そこで、自社で開発したオリジナル製品を製造する道を選択しました。

独自アイデアを盛り込んだオリジナル製品であれば、付加価値により当然価格は高くなります。しかし、ただ単に製品価格を上げたいが為にオリジナル製品を開発しても上手くいきません。その付加価値が社会の問題解決にどのように伝わるか?その本質的な部分が重要となります。イビコンは、新たな価値により、社会の安心・安全を創造していくことを選択したのです。

1968年 イビ川式張りブロック(現在生産終了)

法面保護に使われる護岸ブロック。製品同士の連結に嵌合する凹凸を設けることで、ブロックの施工性を高め、設置後は製品同士が噛みあいズレ防止となり、安全性を高めました。

既存の工法(製品)に、付加価値を加え、ちょっとした世の中の困りごとを察知し、それを解決する。不便だな、不安だなと感じつつも改善が出来なかったことを実現していく。これがイビコンの商品開発の原点でした。

1980年代 「生活の困りごとに寄り添う」

イビコンは一層「商品開発型企業」としての方向性を強めていきます。普段生活している中で感じる問題を解決するために、様々な商品を開発していきます。

1982年 ノイズレス蓋

側溝と蓋がコンクリートの面同士で接する構造であったため、蓋の上を車が走るとガタガタと大きな音がしていました。コンクリート同士が接する箇所に緩衝材(ゴム)を設置することで、その騒音を解消する防音型側溝蓋(ノイズレス蓋)を開発しました。

1987年 アート可変側溝

側溝表面に凹部を設けることで、コンクリート表面の水を効果的に側溝内に落とし込み、また凹凸を設けることによる滑り止め効果を高めたアート模様を有した側溝です。側溝に使用するノイズレス蓋も、アート模様を施し、角欠けを防止する為に端面をR形状に改良しました。これらの側溝・蓋は長くイビコンのスタンダードとなりました。

1988年 フロントガード側溝(現在生産終了)

道路側溝が車の走行などで角が劣化していくことを解消するために、側溝のコンクリート露出部を樹脂製のカバーで覆いました。これにより側溝の劣化が抑制されます。

1990年代 「視野を広げ、新商品の更なる拡大」

商品開発型企業として世の中に認知されるようになり、色々なお困りごとの相談や、商品開発につながるような情報を頂けるようになりました。そうした中、国土交通省中部地方整備局との共同開発製品が生まれます。

1999年 リバーシブルブロック

国土交通省中部地方整備局と共同開発した重力式擁壁用プレキャスト型枠です。重力式擁壁は重量物である為、二次製品化してしまうと運ぶことが出来ません。現場で木型を組み、生コンを打設して構築していました。これですと、工期が長くなり、道路供用までに時間を要します。二次製品化されたプレキャスト型枠を使用することで、生コンの硬化を待たず埋戻しが出来ます。また、跳び箱形状に分割した構造とした為、ブロック一個当たりの重量を軽減し、現場作業性を高めました。

リバーシブルブロックは国土交通省中部地方整備局と共同開発ということで注目度も高く、工業会を立上げ、製品発表会を開催し、多くのお客様にご来場いただきました。これまでちょっとした一工夫で問題解決をしてきたイビコンですが、新たなものを創造し、問題解決を実現するきっかけとなった製品です。

1997年 外フラット桝

一般的に現場打ちで構築される集水桝をプレキャスト化した製品です。鋼製の受枠による劣化防止、ごみカゴによる落ち葉などの堆積防止の付加価値を有しています。本製品は側溝と接続し、水を集める為、側壁に開口を設けなければなりませんが、我が社の外フラット桝は開口を設けてありません。現場で水路に合せて削孔していただきます。現場での一手間にはなりますが、工場で開口位置を調整して制作するよりもはるかに早く現場に納めることが出来、トータル的な工期短縮を可能としています。発売から20年以上経過した今日でも全国からご要望頂ける製品です。

2000年代 「安心・安全の追求」

イビコンは、どのように社会の安心安全を実現していくのか。それを今まで以上に意識し、商品価値を営業・技術・製造全ての総合力で高めるようになりました。

2003年 排水ドレン金具・排水ドレン側溝

道路に水溜りが出来る。そこに車が走り、歩行者に水がかかる。当たり前のことですが、この当たり前を解消したいという想いから開発された製品です。側溝に穴あきの金具を設けることで、舗装表面の雨水を側溝内に流し込みます。金具は側面にも穴が開いており、経年劣化により舗装が下がっても水を取り込むことが出来ます。イビコンの側溝にはこの排水ドレン金具が標準装備されるようになりました。また、既存の水路に後から設置可能な後付タイプもございます。テレビCMも展開し、イビコンの問題解決力を一般にも認知していただくきっかけになった製品です。

2006年 自在R連続基礎

これまで側溝類をメインとして製品のラインナップを揃えてきましたが、役所担当者様からの相談をきっかけに防護柵の基礎の二次製品化に着手しました。これまでのノウハウが通用しない分野でしたが、商品開発型の企業であることを認知頂けていたおかげもあり、様々な情報が集まることで追加機能や製品規格の追加を行うことが出来ました。本製品は端面をR形状にし、上下組み合わせ、ボルト1本で連結させることで構築する車両用防護柵の連続基礎です。現場作業性を高め、工期短縮を実現すると共に、曲線対応を可能とした現場対応能力の向上、更には高い安全性を実現します。

この製品は、安全を確保するために設置されるもので、実際にこの製品があったからこそ人命が助かったという評価も頂き、世の中の安心、安全に貢献しているということが最も実感できる製品となりました。世の中には数多くのコンクリート二次製品が存在しています。イビコンは、そのコンクリート二次製品を通して、安心安全を実現する。人の役に立てる喜びを感じ、成長し続けなければならない。改めてそう認識させる製品となりました。発売から10年以上経過してなお、全国で多くのご要望を頂けます。今に至るまでに、この製品を通じてどのように安全を実現するかを考え、高めてきたイビコンだからこそ出来る安全の創造があります。

2010年~現在 「不易流行~変わらぬものと変えていくもの~」

イビコンには商品開発をしていく上で「夢」がありました。岐阜県大垣市の小さな会社が開発した問題解決製品で、日本全国の安心・安全に貢献する事。2006年に開発された自在R連続基礎は、北海道から沖縄まで採用頂き、採用実績総延長も800kmを超えるほど(※2019年時点)までになりました。

創業時代から変わらぬ、安心安全を実現したいという想い。変えていくものは、常に世の中の困りごとを察知し、その時代にあったものを提案しなければならないこと。イビコンはこれからもその想いを抱き、新たな安心・安全を創造し続けます。

2014年 FR横断側溝

道路勾配に合せて側溝を自在に傾けられる横断側溝です。車両通行時の衝撃を解消することで車両乗員には快適さを与え、側溝は劣化を防ぎます。底を円形にしたことで、無段階に勾配調整が可能となり、これまで横断側溝部に段差が出来ることは当たり前と思われていた常識を打ち破った側溝です。

2018年 交差点用自在R連続基礎

自在R連続基礎は、販売開始から様々なニーズや問題解決に応えるべく製品規格を追加することで対応可能範囲を広げてきました。交差点用自在R連続基礎は、浅層埋設物により、自在R連続基礎を含む現存するコンクリート製品では埋設が出来ない箇所へ、安全な防護柵を設置出来る様にしたいと開発した製品です。2019年になると、防護柵が無い箇所への車の進入による交通事故が多発、歩行者安全確保がより注目されるようになり、本製品が安全確保の手段として活躍するようになりました。イビコンは、常に世の中に未だ露出していない問題を日々考え、それを解決する方法をオリジナル製品にて形にしています。

共創により描く未来